はじめに


「Wonderful Report」は帳票の作成・表示・入力・印刷・PDFへの出力を行うためのソフトウェアです。


<対象ソフトウェア>
「Wonderful Report 2005 開発環境」(version 1.1.17.3132)
「Wonderful Reprot 2005 Preview」(version 1.1.17.3132)
「Wonderful Reprot 2008 Preview」(version 2.0.0.0421)
「Wonderful Reprot 2016 Preview」(version 3.0.0.0140)


説明の中で次のように略称で表記する場合があります。

正式名
Wonderful Report 2005 開発環境 開発環境
Wonderful Report 2016 Preview
Wonderful Report 2008 Preview
Wonderful Report 2005 Preview
Preview
Wonderful Report 2016 PDF Server PDF Server
 Wonderful Report 2016 PDF Client PDF Client
Microsoft .NET Framework .NET Framework 
Microsoft Visual Basic VB
Microsoft Visual C# C#




機能概要


「Wonderful Report」はデータベース等のデータを使って見やすい帳票を作成し、プリンタやPDFファイルに出力するためのツールです。請求書や納品書のような定型帳票はもちろん、顧客リストや商品リスト等企業内で蓄積されているデータベースを使って簡単に帳票を作成し印刷することができます。

滑らかな文字描画や目次の表示、文字列の検索・選択機能等、紙への印刷だけでなくディスプレイ上での利便性を向上させる機能も充実していて、帳票を入力フォームとして使用する簡単な入出力アプリケーションを作成することもでき、FAX 送信票や注文書、見積書や宛名ラベルなど、ちょっとした帳票の電子化を強力にサポートします。

業務プログラムと帳票書式を完全に分離することができるため、帳票の変更やカスタマイズに伴うプログラム修正を最低限に抑え保守性の向上が期待できます。



あらかじめ作成しておいた帳票書式(定義ファイル)と入力するデータを指定して「Preview」を起動することで帳票の表示・印刷を行うことができます。PDFに出力する場合は「Preview」の代わりに「PDF Server」または「PDF Client」を使用します。

帳票書式(定義ファイル)は専用のエディタで作成・編集することができます。



帳票定義の作成・編集
表示
印刷
PDF出力
運用・実行



帳票定義の作成・編集


帳票定義(*.wfr)は開発環境に含まれる専用のエディタで作成・編集します。
単純な帳票であれば、簡単なマウス操作とプロパティの設定だけで帳票定義を作成することができます。




<帳票定義作成の流れ>
  1. 入力するデータを準備します。(エディタでテストデータを作成することもできます)
  2. データを入力するオブジェクト(セクション等)を作成します。
  3. 表示されているデータの値(複数でも可)をドラッグ&ドロップでオブジェクトに貼り付けます。
  4. 固定文字や罫線や背景のアイテムを作成し、外観をプロパティで設定します。
  5. 「テスト表示」を行い実際の出力結果を確認しながら微調整を行います。
  6. 帳票定義を保存します。
  7. 「Preview」や「PDF Server」で運用します。(帳票定義と実データを使って出力)


単純な帳票定義であれば上記の手順でプログラミングすることなく作成することができます。

さらに、「Wonderful Report」ではデータの内容に応じて複雑に変化する帳票に対応するためにスクリプト機能がサポートされています。スクリプト機能を使うことでデータの値をただ並べるだけの帳票ではなく、データの値を連結・加工、内容によって外観(色やフォント)を変更、書式そのものを切り替える等、より見やすい帳票を出力することができます。


1.マウスドラッグでデータ値を配置

データ値はエディタ下部のデータウインドウからドラッグするだけで帳票に貼り付けることができます。




2.データ値の連結・加工

豊富な関数や条件文を使って、データベース中の値を連結・加工して表示させることができます。
帳票出力のためだけのデータベースを準備したり、業務アプリケーションで加工を行う必要がありません。




3.値で外観を変更

データの値によって色やサイズ等を動的に変更することができます。




4.合計や累計を自動計算

データベースのデータ中にある情報から合計値や累計値を求めることができます。
特定グループ範囲中の合計や累計を求めることもできます。(請求先毎の合計等)


5.文字を指定枡(グリッド)に綺麗に配置

文字を指定の枡(グリッド)内に簡単に配置することができます。
枡(グリッド)パターンを自動で描画することもでき、請求書の金額のように枡に数値を並べるようなアイテムを簡単に作成することができます。




他にも、文字列がアイテム内に全て収まるようにフォントサイズやフォント縦横の比率を自動調整する機能もあり、入力データにより文字数が変化する場合でも最適な状態で描画することができます。



6.文字列を見やすく出力するための豊富な機能

多くの文字修飾設定が用意されているので、目的に応じて設定を調整することで文字列をより見やすく表示・印刷することができます。



住所のように文節中で改行すると不都合な場合は、状況に応じてスペースで折り返すこともできます。(自動)




7.各種バーコードやグラフをサポート

各種バーコードやグラフをサポートしていて、データ値に応じて動的に変化させることができます。

※1
バーコードは出力デバイスの解像度とアイテムサイズに応じて、最も読み取り品質が高くなるように自動調整され出力されます。
バーコードの出力(印字)状態を確認するための仕組みが設けられていて、出力デバイスに左右される読み取り品質の違いを数値化して確認することができます。

※2
読み取り精度向上のため出力デバイスの解像度に応じて計算された最小単位を元に線等が出力されます。
このため出力デバイスの解像度によってバーコードのサイズが異ります。(アイテムサイズ内で調整されます)



表示


滑らかな文字描画や目次の表示、文字列の検索・選択機能等、紙への印刷だけでなくディスプレイ上での利便性を向上させる機能が充実していて、帳票を入力フォームとして使用する簡単な入出力アプリケーションとして利用することもできます。

帳票の表示にはライセンスフリーの「Preview」を使用します。



1.目次を使って目的の情報をすばやく表示

帳票の内容から自動的にインデックス(目次)を作成することができます。これにより目的のページへのアクセスを高速化することができ業務効率を大幅に向上することができます。



文字列の検索を行うこともできます。





2.滑らかな文字描画

文字列のスムージング機能により印刷イメージに近い状態で文字が描画され、細かな文字でも見やすく表示されるので一々印刷して確認をする手間が省けます。

<スムージング - OFF>



<スムージング - ON>


ディスプレイ表示と印刷結果で文字列の出力位置や折り返し位置等が違うことを経験したことはありませんか?

この問題の多くは、出力デバイスの解像度とフォントサイズに伴う誤差によって発生します。
ディスプレイ表示と印刷結果を同じにするには、どちらかに合わせて文字列を出力する必要があるのですが、どちらかに合わせればもう一方の出力では文字の端が重なったり字間が不統一になるといった現象が発生します。
これらの問題を解決する手段として「Wonderful Report」ではスムージング機能を採用しました。
ディスプレイ出力でスムージングを行うことで、印刷時に近い表示を実現しこれらの問題を解決しています。

図形として描画される埋め込みフォントについても、そのまま出力したのではディスプレイで見づらいですがスムージングにより見やすく表示することができます。



3.表示された帳票上で直接入力、そのまま印刷

表示した帳票上で直接値を入力・変更することができ、帳票を入力フォームとした簡単な入出力アプリケーションを作成できます。
FAX送信表や見積書、宛名ラベルから宅配伝票まで、これまで手書きで行っていたちょっとした帳票の電子化を強力にサポートします。

直感的でスピーディに記入作業を行うことができます。ぜひお試しください。




4.表示内容から次の操作へ

表示している帳票の文字列は選択することができ、カット&ペーストで他プログラム貼り付けて利用することができます。
また、ボタンや文字列のクリックで呼び出し元アプリケーションにイベントを発行したり、EXEやDLL関数を実行することができ、表示している情報を元に次の操作を行うことができます。



印刷


用紙別印刷等、豊富な印刷方法がサポートされています。
目的に応じて自由に印刷方法を選択することができ、これまでアプリケーションで制御していた複雑な印刷も簡単に実現することができます。
印刷した帳票の履歴を残すこともでき、過去に印刷した帳票の確認・再印刷が簡単に行えます。

帳票の印刷にはライセンスフリーの「Preview」を使用します。


1.用紙別印刷

用紙(フォームオブジェクト)毎に出力先を指定して印刷することができます。
「印刷オプションの再利用」機能と組み合わせることで、毎回印刷の設定をする必要もありません。

封筒は「プリンタA」で印刷
請求書は「プリンタB」のカセット1の用紙に印刷
送り状は「プリンタB」のカセット2の用紙に印刷
配達伝票は「プリンターC」で印刷




2.印刷オプションの再利用

多くの場合、出力先は帳票毎にあるていど固定されています。

帳票Aはプリンター1のカセット1の用紙に印刷
帳票Bはプリンター2でページレイアウトを指定し両面印刷
帳票CはPDFに出力
帳票DはA4にリサイズしFAXで送信
等...

「印刷ダイアログ」から印刷を行った場合、設定した内容(印刷オプション)をシステムに保存し次回以降の印刷で再利用することができます。
印刷の度に印刷設定を行う必要が無くなり効率的です。


各帳票、最初の印刷では設定が必要です。



3.印刷履歴

印刷を実行した帳票の履歴を保存することができます。
保存された履歴は「印刷履歴」ツールで確認することができ再印刷することができます。


PDF出力


帳票をPDFに変換し出力することができます。

参考:「PDF出力機能の比較


1.Preview画面からの操作でPDFに出力

「Preview」(ライセンスフリー)では画面に表示された帳票をユーザ操作でPDFに保存することができます。


PDFの作成は「ツールボタン」と「ボタンコントロール」から行うことができ、全てのページを保存するか表示中のページだけを保存するか選択することができます。
「ボタンコントロール」からのPDF出力では出力ファイル名やページを指定することも可能で、PDFファイル名に伝票番号等を付けることも可能となります。


何れの場合も「PDFファイルに保存」ダイアログが必ず表示されます。
外部アプリケーションからの操作でPDFに保存することはできません。



2.アプリケーションからPDFに出力

「PDF Client」を使用することで、クライアントアプリケーションからユーザ操作を介さずに直接PDFに出力することができます。
出力ページの範囲指定やセキュリティの設定等、細かな設定が行えます。




3.WebサーバでPDFを作成しクライアントのWebブラウザに表示

「PDF Server」を使用することでサーバーアプリケーションから帳票をPDFに出力することができます。
IISやASP.NETと連携しWebサーバで帳票をPDFに出力し、クライアントのブラウザに表示するようなWebシステムを構築することができます。


ActiveXに対応していない「Microsoft Edge」や「Google Chrome」でもPDFを介すことで「Wonderful Report」で作成した帳票を表示することができます。



運用・実行


「Wonderful Report」はWebシステムやパッケージソフト、社内ツール等の印刷エンジンとして幅広く利用可能な帳票ツールで、多くの実行インターフェースを備えているため各種開発言語からの利用が可能です。

帳票の書式に関する設定(帳票定義)は全てエディタを使って行うため運用時には書式に関する操作は必要ありません。
実行プログラム(Preview・PDF Serve・PDF Client)に帳票定義ファイル(*.wfr)と、入力するデータの情報を渡すだけで帳票をプリンタやPDFに出力することができます。

表示・印刷を行うための「Preview」はライセンスフリーのプログラムのため、運用するコンピュータの台数をきにすることなく利用することができます。

Web帳票
業務アプリケーション
パッケージソフト
社内ツール
フリーソフト(年賀状・ラベル等)



「PDF Server」「PDF Client」はライセンスの購入が必要です。



1.各種開発言語に対応

「Wonderful Report」の実行プログラムは多くの実行インターフェースを装備しているため呼び出しプログラムの開発言語を特定しません。Windowsで動作するものであれば、あらゆる開発言語から使用することができます。

各種開発言語で作成したウインドウ(フォームやダイアログ)に帳票を表示させたり、バックグランドで印刷を実行することができます。
豊富なオプション設定機能(メソッド/プロパティやコマンドオプション)が用意されているので、呼び出し元ユーザプログラムから細かな制御を行うことができます。

コマンド起動
コマンド起動から帳票を表示・印刷することができます。
ActiveXコントロール
「Visual Studio」のWindowsフォームや「Internet Explorer」上に帳票を表示することができます。
COM(OLE)

「VB」や「C#」等のプログラムから「Preview」を操作することができます。
バックグラウンドで印刷を行う場合等に使用します。
アセンブリ
「.NET Framework」で使用するコードライブラリです。
アセンブリを介して「Preview」を操作することができます。




2.業務アプリケーションとの分離

業務アプリケーションからの帳票出力は、帳票定義ファイルと使用するデータ情報(データベース接続情報やCSVファイル名)を実行プログラムに渡すだけで行うことができます。
このため、業務アプリケーションと帳票書式の開発を完全に分離して行え、帳票の変更やカスタマイズに伴うプログラムの修正を最低限に抑えることができます。



3.Web帳票システムも簡単に作成

「Preview」では、帳票定義ファイルとデータ情報があれば帳票の表示・印刷が行えます。
Webサーバーの公開フォルダに帳票定義ファイルとデータ(CSVファイル)を準備し、これらにアクセスするHTMLを表示するだけでクライアント側のブラウザで帳票の表示・印刷が行えます。
Webサーバーに「Wonderful Report」をインストールする必要はありません。(WebサーバーのOSを選びません)

「Preview」はライセンスフリーですのでクライアントの数を気にする必要はなくシステム全体のコストを大幅に下げることができます。

CSVファイルの代わりに、CSV形式のテキストを出力するサーバーアプリケーション(*.aspx等)を指定することも可能です。

※1
HTMLで帳票を表示する場合、「Preview」のActiveXコントロールを使うことになります。
このため、使用するブラウザはActiveXコントロールに対応した「Microsoft Internet Explorer」(IE)に限ります。


また、「PDF Server」を使うことで、Webサーバーで帳票をPDFとしてクライアントに出力することができます。
この場合、ActiveXコントロールに対応していない「Microsoft Egde」や「Google Chrome」からの表示・印刷にも対応することができます。

※2
「PDF Server」を使う場合、Webサーバーは「Windows Server」である必要があります。
クライントのOSやブラウザを気にする必要はありませんが、別途PDFを表示するためののプラグイン等が必要な場合があります。



4.実行ライセンスフリー

帳票の表示・印刷を行う「Preview」はライセンスフリーのプログラムで、クライアントコンピュータの台数を気にすることなく運用することができます。

インターネットを通じて帳票の表示・印刷を行う場合、実行モジュール(CAB)をWebブラウザ(Microsoft Internet Explorer) の機能を使って自動的にダウンロードしインストールすることができ、配布・バージョンアップも容易に行うことができます。
また、パッケージソフトの印刷エンジンとして使用する場合は、再配布ファイルをパッケージソフトのインストーラに組み込んでインストールすることができます。



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